えらぶの人を支えた命の水☆ジッキョヌホーと暗川(くらごう)巡り【沖永良部島】
目次
Jikkyonuho and Kurago that the water saved many lives # Travel Information of Okinoerabujima-island (Remote-island near Okinawa). Please click translation function on the upper right side of the screen.
沖永良部島の水問題
沖永良部(おきのえらぶ)島には知名(ちな)町と和泊(わどまり)町の間を流れる余多(あまた)川しかなく、昔は飲み水や生活に使う水を確保することがとても難しい島でした。ただ、石灰岩でできた島なので地面の下に涌き水はありました。えらぶ(沖永良部島)の人々は自然と水が沸いている場所に住まいを構えてそこから集落が発展していきました。
しかし大体の涌き水の場所は薄暗い地下にあります。そして水汲みは女性の仕事でした。昔は階段も電気も無く、一回に汲める水の量も少なかったので一日に何度も通わなければならず、大変な仕事だったそうです。
現在の暗川の利用方法
沖永良部島では涌き水の事をホーと呼び、石灰岩で来た地形から生まれる洞窟を暗川と呼びます。
ホーや暗川は水道や電気が通った現在でも涌き水をポンプでくみ上げて飲み水として使用したり、島の農業用水として使用している場所もあり、今も変わらず島の人にとってとても大事な場所となっています。
ホーや暗川の場所
私は沖永良部島に滞在中にたくさんあるホーや暗川のうちのほんの少しだけ回ったのですが、有名な場所(ジッキョヌホーと住吉暗川)以外の情報が全く分かりませんでした。Google mapにも場所すら登録されてないので、探すのにずいぶん苦労しました。そんな中で唯一助けになってくれたのが沖永良部島観光協会さんが監修している沖永良部島湧水map。是非、暗川巡りの参考にしてみて下さい。
沖永良部島観光協会から上の地図はお借りしました。
代表的なホーと暗川
私が行ったのは喜美留暗川、メーラーゴー、ジッキョヌホー、住吉暗川、田皆暗川、国頭暗川の6つです。地図にやガイドブックに載っていたのはジッキョヌホーと住吉暗川の2つだけでした。
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喜美留暗川(きびるくらごー)
喜美留(きびる)は和泊(わどまり)町にある集落で近くには笠石海浜公園があります。町の真ん中にあるのと公民館のすぐ隣なのでここは比較的分りやすかったです。
喜美留公民館(和泊町喜美留232-1)と和田マツ商店の間にこの看板が立っています。
すぐ脇に下に降りて行く長い階段があります。
写真からは伝わりづらいですが、水は結構豊富で透明です。現在も洗濯などに使われているようです。
ジッキョヌホー
続いてやってきたのは知名町にある集落で瀬利覚(せりかく)。近くにはウジジ浜があります。ここは最初からとても湧水が汲みやすい場所にあり、大きな集落へと発展するのに時間はかかりませんでした。また映画「男はつらいよ ハイビスカスの花編」で半崎などと共に吉岡秀隆が演じる満男が登場するロケ地にもなっています。
ここの水は平成の名水百選に選ばれるほどきれいな水で、今でも小さな子供たちの水遊び場になっていたり、沖永良部島の名産である、「えらぶゆり」や「じゃがいも」を育てたりするのに使用されています。
住吉暗川
知名町の住吉集落にある住吉暗川(すみよしくらごう)。暗川として一番有名な洞窟で、鹿児島県の天然記念物に指定されています。
長い階段の下にある水くみ場は真っ暗ですが、階段の手すりに電気がついていますので自分でスイッチを入れます。帰りに電気を消すのを忘れないようにしてくださいね。
ダイナマイトが沖永良部島に入ってきてからこの洞窟は広げられ、どんどん整備されていきましたが、当時は狭くて暗く深さが役30メートルもあるこの場所からの水汲みはとても大変な作業だったそうです。
現在も汲み上げポンプが設置されており、入り口付近には水自動販売機と書かれた装置が置かれていました。
住吉暗川のすぐ隣には茅葺(かやぶき)屋根で9本足の高倉(たかくら)があります。元々沖永良部島は沖縄北部の王族がやってきて世之主(よのぬし)と名乗り、切り開かれた土地なので、高倉も沖縄と同じように神アサギ(祭事)の時に利用されたと思ってました。どうやら沖永良部島では純粋に高床式の穀物貯蔵庫として高倉が利用されていたようです。
メーラーゴー
和泊町の内城集落から瀬名集落に続く県道沿いを走ると少しだけ開けた場所があって左手に看板が見えます(下の地図)。この方角から行くと看板(下写真)が奥まっていて見えにくく見落としがちなのでゆっくり走行して安全に確認してみて下さい。
そしてその奥にある少しだけ草が開いて道が出来ているところを進みます。一度は瀬名集落民によって整備されたそうですが現在は草が生えて分かりづらい入り口になっています。
奥にこの水くみ場があり、その近くには川が流れているので癒されます。
田皆暗川
知名町の田皆集落にある田皆暗川(たみなくらごう)。新納(にいろ)酒造(株)工場の裏手にあります。新納酒造で作られるお酒の冷却水には現在でもここの涌き水が使用されています。この場所は地元の方に連れて行ってもらった場所なのですが、洞窟をそのまま利用した他の暗川とは全然違いました。
日の光が差し込む大きな穴に向かって階段を降りて行きます。
コンクリートでできた大きな穴の底には日の光がさしていて、他の暗川とは違ってオキナワチョウトンボやリュウキュウギンヤンマ、シロオビアゲハ、クロマダラソテツシジミ、イシガケチョウやヤンバルでは見る事が難しいコノハチョウも飛んでいました。
国頭暗川(くにがみくらごう)
和泊町の国頭集落にある国頭暗川。ここが一番場所が特定しにくくて、行った記憶+沖永良部島涌水MAPを参照にして場所を割り出しました。
女性が一日水汲みをしなければいけない時代には「娘が生まれたら国頭に嫁にやるな」と言われるぐらい暗く狭い洞窟の代表のような場所だったと地元の方がおっしゃってました。
住吉暗川のように長い階段ではないですが、やはり洞窟内は暗く当時の苦労がしのばれます。
国頭暗川は日本一のガジュマルの木がある国頭小学校の裏手にあたる場所にあります。
この他にも沖永良部島には暗川がたくさんありますので興味がある方は沖永良部島観光協会の方に聞いてみて下さいね。
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