自分で出来る!相続による不動産名義変更に必要な書類や段取り
目次
夫(父親)名義だったマンションを相続するために自分で名義変更をする方法
自分で不動産の名義変更する方法は色々なサイトに書かれていますが、遺産分割や土地を複数持っている場合など複雑な状況について書かれおり、参考にするには私にはハードルが高かったので自分で調べながら進めました。
今回はこの経験がどなたかの参考になればと思って記事にしました。
自分が経験したのは一番一般的と思われる、
「死亡した父親名義のマンションを、母親と子供で法律で決まった割合で相続して名義変更をする場合」について書いていきます。
例えば、父親だけの名義のマンションがあり、名義人である父親が死亡。配偶者である母親と2人の子供A(結婚して戸籍と住所が両親と別)と子供B(未婚で戸籍と住所が父親と同じ)が法律で決められた割合で相続する場合。
法定相続と遺産分割の違い
法定相続とは法律で決められた通りの割合で遺産を相続することで、上の例でいうと父親の権利の半分を母親へ、4分の1を子供A(結婚して戸籍と住所が父親と別)へ、残りの4分の1を子供B(未婚で住所が父親と別)へ相続することです。
遺産分割とは相続する権利がある人が複数いる場合に相続者全員の同意を取って、決まった人が相続をする事です。例えば遺産の全て(4分の4)を母親が相続するという場合などです。
初めにすること
遺産であるマンションの名義変更を自分たちだけでするなら、まずは相続するマンションの所在地を管轄している法務局に連絡して相談の予約を取りましょう。
最初の相談時に必要な書類
私が法務局に電話して相談予約した際に言われたのは2~3回は法務局に行かなくてはならない事。
また、提出する書類については法務局の担当者と登記謄本を見ながら打ち合わせをするので以下を持ってくるように言われました。
- 土地の権利書
- 固定資産税の納税証
- 登記簿謄本(法務局で取得できます)
※基本的には必要書類は日本全国どこでも同じはずですが、担当者や地域によって違うという話も聞きますので必ず電話予約の際にご自身で確認してください。
もし用意できるようであれば以下の書類も持参できるとなお良いです。
法定相続をするときの必要書類
例)父親、配偶者である母親、子供A(結婚して戸籍と住所が父親と別)、子供B(未婚で住所が父親と別)とします。
1、父親の生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本【腹戸籍(はらこせき)】(出生から死亡までの一連の戸籍を各々で取得)※下で詳しく説明しています。
2、父親の住民票除票又は戸籍の附票(父親が亡くなる直前まで住んでいた場所の市役所で取得)
3、現在の戸籍謄本 相続人全員分(1と被るので母親と子供Bは不要、既婚の別戸籍の子供Aの分のみ)
4、住民票コードが載っていない住民票 相続人全員分 (2と被るので母親は不要、既婚の別住所の子供A、未婚の別住所の子供Bの分)
5、印鑑証明書 相続人全員分(母親+既婚の別住所の子供A+未婚の別住所の子供B)
6、固定資産評価証明書(固定資産税の納税通知書で代用できる法務局も有)
※生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本【腹戸籍(はらこせき)】について
本籍を一度も動かしていなくても、出生時、死亡時の少なくとも2枚以上は絶対にあるはずです。上の例の父親だと本籍を一度も動かしてない場合でも出生時、婚姻時、死亡時の最低3枚はあります。
また、父親が現戸籍がある場所で出生していたとしても下記の例の様に父親の両親の本籍が出生地以外にある場合、そこからも本籍を取り寄せなければなりません。他にも様々なパターンが考えられますので市役所で生まれてから死亡するまでの一連の戸籍謄本を下さいと強く念押ししてください。また、書類を受け取ったらご自身でも必ず戸籍の抜けがないか確認してください。
例)Xは東京都港区生まれで本籍は自分では一度も動かしていません。ただし、Xの父親YはXの祖父Zの戸籍に入ったまま北海道出身札幌市で婚姻届けを出した後、誕生したXは祖父Zの戸籍に入りました(昔は家単位の戸籍だったためごく一般的な事例です)。しかし昭和23年の戸籍法改正により戸籍が家単位ではなく家族単位になった為、父親Yは本籍地を当時住んでいた北海道函館市に置きます。その後東京都港区に引っ越しましたが、本籍地は北海道函館市に置いたままで、住民票だけ東京都港区に移しました。その後、住民票と同じ住所である東京都港区に最終的に本籍地を移しました。つまりXは本人知らぬところで戸籍が札幌市と函館市にもあったことになります。さまざまな事例が考えられますので腹戸籍を辿るときは本当に注意した方がいいと思います。
以上を踏まえて法定相続で不動産の相続による名義変更をする場合に個人別に必要な書類は以下になります。
☆死亡した父親 腹戸籍(生まれてから死ぬまで一連の戸籍謄本)、住民票の除票
☆母親 印鑑証明
☆既婚の別住所の子供A 戸籍謄本、住民票、印鑑証明
☆未婚で別住所の子供B 現在の住民票、印鑑証明
上記は相続する全員がそろって法務局に出向いた場合になりますが、もし代表者が手続きする場合は他の相続人の委任状が必要になります。
ちなみに遺産分割にすると遺産分割協議書とそれぞれの印鑑証明書と、印鑑証明書と同じ印鑑が必要になります。ここでは詳細は割愛させてもらいます。
法務局に全ての書類とそれぞれの認め印(母親、子供Aと子供B)を持参すれば税率の計算は法務局の係の方が目の前でやってくれました。
※ネットなどを見ると自分で計算して持ち込まなければならないという記載もあります。もしかしたら法務局によって異なる可能性があるので係の方に聞いてみてください。マンションの場合は共有部分などがあるため、自分で計算するとなるとちょっとややこしいです。
計算が終わると相続税が算出されますので、法務局内で販売している収入印紙を購入して支払います。
書類を提出し、不備がなければ引き渡し書類を取りに来る日を指定されます。これで相続による名義変更は全て終了です。
ちなみに引き取り時は母親、子供Aと子供Bの全員で、書類提出時に押印した認め印を持って法務局に受け取りに行かなければなりませんが、それが難しい場合は書類を提出する際に委任状を作成すれば、代表者だけで書類を受け取ることができます。
登記完了書と識別情報通知書を貰えれば全ての処理が完了します。
不動産会社からDMが来る!?
後日談ですが、不動産の相続による名義変更が終わってすっかり安心していたら不動産会社から突然「相続した土地を売りませんか?」というDMが送られてきてびっくりしました。どこから情報が漏れたんだと思っていたらどうやら不動産登記受付表や登記簿は第三者でも法務局に申請すれば見る事ができるのです。
不動産登記受付表とは
不動産登記受付表とは法務局が管轄している地域に登記された物件と理由を一覧にまとめた表の事です。例えば1月21日に処理された不動産情報としてその住所と所有者の名前が一覧になっています。
しかし私は不動産の住所には住んでおらず、不動産登記受付表には私の住所は載っていないはずなので、これだけでは我が家にDMを送ってくることはできません。
登記簿(相続登記)
登記簿は不動産所有者の名前と不動産の住所、不動産の取得理由(この場合は相続)、そして全ての所有者の現住所が一軒づつ記載されています。この登記簿も法務局に申請すれば第三者でも見ることが出来ます。
私の住所が漏れた理由
つまり私の住所が漏れた理由は、名簿業者が不動産登記受付表から目ぼしい人物(その住所には住んでおらず、相続として保有している人物など)だけを拾い上げて、さらにその人物ごとに登記簿を法務局に請求し住所を特定して不動産会社に売りつけたのではないかと思います。
つまり具体例でいうと下のようになります。
死亡した父親名義のマンションを母親、子供Aと子供Bが相続したが、まずは不動産登記受付表で苗字が違う子供Aの存在を確認し、相続したマンションの登記簿をあげて子供Aの住所を調べてDMを送った。
違法ではありませんが、いきなり見ず知らずの不動産屋からDMが送られてくるとはっきり言って気持ち悪かったです。でもそういうこともあるんだと心構えがあるとまた違うと思うので頭の片隅にでも入れておいてくださいね。(今のところしつこい勧誘などはありません。)