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鍼灸学生必見★全身の気機と臓腑の関係の覚え方【東洋医学8】

2021年5月24日

 

街中で見かける「東洋医学的な体質診断」では「血虚」「気滞」など8〜10種類ぐらいですが、実際の東洋医学的診断は「肝気鬱滞(カンウツキタイ)」、「脾腎不和(ヒジンフワ)」や「痰湿阻肺(タンシツソハイ)」など約40種類ぐらいに区分されます。その診断基準になっているのが全身の気機(気の働き)と各臓腑の関係です。

 

全身の気機と各臓腑の関係

例えば「肺」が持っている宣発(センパツ)と粛降(シュクコウ)という生理作用が「肝」や「脾」などと関係して体の仕組みを作っています。これを学校で習うと思うのですが、全体像を把握するのがかなり難しく、頭が混乱します。そこでざっくりですが一枚の図にまとめてみました。

臓腑と矢印だけの図(問題)と、それぞれの作用を書き込んだ(答え)の2タイプ作ったので臓腑と矢印だけの図(問題)をプリントアウトして自分でそれぞれの作用を書き込んでいき、私の用意した「それぞれの作用を書き込んだ(答え)」を見ながら書いていくとだいぶ関係性が見えてくると思います。

全身の気機と各臓腑の関係
全身の気機と各臓腑の関係

 

各臓腑それぞれが重要な役割を持っているのですが、全部は覚えれらないという場合、特に活躍する「肝」「肺」「脾」「腎」から覚えるのがおすすめです。

 

肝の「疏泄」、「昇発と条達」

肝の役割の中で1番大切なのが「疏泄(ソセツ)」。上昇↑外向き→。そして全身の気機を調節して生理物質を推動させます。このことを言い換えれば実際に体を動かす血(や津)と感情を動かしているのが「肝」です。これが「将軍の官」と呼ばれる理由です。

「疏泄」はとにかく巡る、流れるイメージです。

そして肝には生理作用として「昇発」と「条達」という機能があります。「昇発」は上昇↑と(外へ)発散→という意味で、条達は木が太陽に向かって隅々まで伸びやかに成長するという意味になります。

肝はとにかく上に外に目一杯手を広げるとイメージできます。

 

肺の「宣発」と「粛降」

疏泄(肝)⇄宣発(肺)

宣発は体内の濁気を体外に排出します(CO2を吐き出す)。上昇↑、外向き→。

上昇がうまく働かなくなると(失調)、上昇しすぎて息を激しく吸ったり吐いたりしすぎます(過呼吸)。

 

また、外に出す作用がうまく働かなくなると(失調)、津液の調節に影響が出て発汗、浮腫みが出ます。

 

疏泄(肝)⇄粛降(肺) 

粛降は呼吸道を清潔に保ち、気や津液を下降させる。下降↓、内向き←。

これがうまく働かなくなると(失調)、咳が出続ける喘息(ゼンソク)となります。

 

粛降(肺)⇄降濁(胃・小腸・大腸)

胃と小腸で清濁の泌別(セイダクノヒベツ)を受けた飲食物のうち、清は脾へ、濁は大腸へ送られます。胃、小腸、大腸と書きましたが大まかには消化器官と捉えていいと思います。肺の粛降↓は降濁↓を補助しているのでこれがうまく働かなくなると(失調)、体の下へ下ろす力が少なくなり、食べ物が体の中に溜まっているので新たに体内に入れるのを拒否して匂いを嗅ぐのも嫌になる厭食(エンショク)や便秘になります。

 

粛降(肺)⇄伝化(大腸)

小腸で分別された濁のことを糟粕(ソウハク)と言い、小腸から大腸に降りてきます(降濁)。これを受け取った大腸は濁の中から水分(津液)を吸収します。そして固形物は糞便として体外に排出し、吸収した津液以外の水分を膀胱に運び、尿として排出します。これを糟粕の伝化(ソウハクノデンカ)と言うのですが、これがうまく働かなくなると(失調)、下へ下ろす力がなくなるため、便秘になります。

 

粛降(肺)と納気(腎)

腎のイメージと1番かけ離れているのが「納気(ノウキ)」という作用です。簡単に言えば深呼吸のことで、肺の粛降と腎の納気で体の中に酸素を取り入れています。これがうまく働かなくなると(失調)、下へ下ろす力がなくなるため、息切れ、喘息、呼吸困難になります。

 

脾の「運化」と「昇清」

疏泄(肝)⇄運化(脾)

脾は飲食物から作られる水榖の精微(スイコクノセイビ)を気・血・津液に化生(カセイ)させ、それを陽気を使って各臓腑に分配します(上昇↑)。

これがうまく働かなくなると(失調)、上にあげることができなくて腹脹(フクチョウ)、食欲不信になります。

これを【清陽不昇(セイヨウフショウ)】というのですが、上昇させる陽(気)がないから清昇できないというそのままの意味になります。

昇清(脾)と降濁(胃)

脾の運化の一部である昇清↑は胃の降濁↓とバランスをとりながら中焦の気機のバランスをとっています。2つとも中焦にあるのでこれがうまく働かなくなると(失調)、胸や胃に関するトラブル(腹脹,下痢、嘔吐、悪心(おしん)が起きます。

 

統血(脾)と清蔵・主水(腎)

脾の統血と腎の清蔵・取水作用には固摂(コセツ)と言って漏れ出ないようにする作用があります。これがうまく働かなくなると(失調)、体内の液体が外に漏れ出てしまうので知らない間にできているあざや出血自汗(ほとんど動いていないのに汗をかいたり)遺尿(おねしょ)遺精などが起きます。

 

これを一つにまとめるとこんな感じになります。

全身の気機と各臓腑の関係
全身の気機と各臓腑の関係

 

その他の語呂合わせ

その他にもいろいろな語呂合わせがあるのでよかったら活用してみてください。

 

2021年5月24日

Posted by hana